安楽死の系譜図
            作表にあたっては,主に右の文献を用いた他,種々の論文,報告書などにより補完している。宮野彰,1984,『安楽死から尊厳死へ』弘文堂
                                                    中山研一・石原明編,1993,『資料に見る尊厳死問題』日本評論社
                                                    町野朔他編,1997,「資料・生命倫理と法II 安楽死・尊厳死・末期医療」信山社
                                                    星野一正,1994-2001,「民主化の法理――医療の場合」『時の法令』法令普及会
 



 


思想
 

医学界の宣言,倫理綱領,

報告書など


世論調査
 


事件
 

安楽死運動法制化への動き

および反対運動


法律
 

19C


1870年代

細菌学の発展


 

[英] 1872
S.D.Williamsのエッセイに Euthanasia の語がタイトルとして初めて登場

[英] 1884
L.A.Tollemache
安楽死を『代行自殺』(suicide by proxy)として適法化を主張









 









 









 

 







 









 

1901-







 

[英] 1901 C.E.Goddard(医師)
耐え難い肉体的苦痛を伴う不治の病者及び恢復の見込みのない白痴,痴愚者,奇形のある者の安楽死に賛意



 









 









 









 

[米] 1906
オハイオ州議会に安楽死合法化法案提出さる
23:79で否決

[米] 1917
アメリカ進歩主義医学協会で安楽死立法化を全州議会に付託す決議案87:24で採択









 

1931-













 

[英] 1931
C.K.Millard(医師)
キリスト教に起因する安楽死反対論を論駁










 















 

[米] 1937(単位は%)
奇形児の安楽死
可45,不可40.5,不明15
不治の病の成年の安楽死
可37,不可47.5,不明15

[米] 1937
国家の監督下で恢復絶望の病人への慈悲殺に賛成するか,
賛成46:反対54女性より男性,年輩者より若者が好意的
医師は53:47


 

[英] 1935
任意的安楽死立法化協会設立

[英] 1936
任意的安楽死法案,上院に提出
35:14で否決

[米] 1937
ネブラスカ州議会に安楽死合法化法案提出,
委員会に付託されるが無期限延期

[米] 1938
任意的安楽死協会設立
 















 

[伊] 1931
自殺禁令廃止












 



 


思想
 

医学界の宣言,倫理綱領,

報告書など


世論調査
 


事件
 

安楽死運動法制化への動き

および反対運動


法律
 

1941-

ペニシリン開発

1946
ストレプトマイシン開発










 

[米] 1949
L.Alexander(ニュルンベルク医学顧問)によるクサビ論
「安楽死運動にとって,基本的には,生きるに値しない生命というものがあり,それが後にすべての穀潰し及び政治的・社会的に好ましくない者へと拡大した」

[加] 1947
S.Katz(ジャーナリスト)
安楽死擁護の論説





 









1947
ニュルンベルク倫理綱領


1948
世界医師会総会
ジュネーブ宣言


 

[米] 1941
(安楽死協会によるニューヨークの医師への意識調査,回答率16%)
成年の不治の病への安楽死立法化可80%
重症の奇形児への安楽死立法化 可27%

[米] 1947
ギャラップ世論調査患者及び家族が求める安楽死
可37%:不可54%

[米] 1950
ギャラップ世論調査
可36%

 

[独] 1945-6
ナチスの「安楽死」計画・人体実験と大量虐殺発覚,
T4計画で7万余人の精神障害者,20万人の心身障害児・者が「安楽死」の名のもとに殺害さる

[国際] 1946
ニュルンベルク国際軍事裁判

[米]
被害者の親族によって起こされた慈悲殺事件5件

[米] 1949-50
サンダー博士事件
医師による慈悲殺,嘆願運動,無罪評決,医師資格剥奪,復職










[米] 1947
安楽死協会,任意的安楽死法案を作成し州議会に公表

[米] 1949
任意的安楽死を求める聖職者の嘆願書

 


















 

1951-


静脈点滴開発

人工呼吸器開発








 

[米] 1954
J.Fletcher (キリスト教倫理,状況倫理)
カトリック教義の医学への影響を指摘,医学の進歩に伴った医療倫理の修正を主張

[カトリック] 1957
ローマ教皇ピウス12世,医師は「特別(extra-ordinary)な装置」を用いることを義務づけられないと訓辞

[米] 1959
E.H.Rynearson(医師)
治療の中止=消極的安楽死を提案

1950
世界医師会総会
安楽死反対の決議












 

[加] 1959
ギャラップ世論調査
プロテスタントとカトリックで著しい差
苦痛の激しい末期患者への安楽死
プ:カ=55%:29%
重症の先天異常児
プ可:不可=44:42
カ可:不可=23:70

[米] 1960
CAの世論調査
消極的安楽死に7:1の割合で賛成多数

 
















 

[英・米] 1952
安楽死協会,不治の患者の任意的安楽死の権利を人権宣言に盛り込む嘆願書を国連人権委員長に提出

[米] 1959
安楽死協会,コネチカット州議会に安楽死法案提出







 
















 

1961-

人工心肺器開発
 

[米] 1962
F.J.Ayd, Jr.(カトリックの医師)
穏やかに死ぬ権利,患者の治療拒絶の権利を認める
 





 





 

[日] 1962
山内事件
親族による積極的安楽死に同意殺人罪で有罪,安楽死の6要件を提示
 





 

[英] 1961
自殺法制定
自殺を犯罪とする法規廃止(第三者の自殺関与は嘱託殺人)
 



 


思想
 

医学界の宣言,倫理綱領,

報告書など


世論調査
 


事件
 

安楽死運動法制化への動き

および反対運動


法律
 

1967
心臓移植成功






 

[英] 1963
C.Saunders
ホスピス・ケア提唱

[米] 1969
E.Kübler-Ross
死の受容の研究

 




[英] 1969
イギリス医師会,安楽死法案非難決議


 





[米] 1970
コロラド州看護婦協会での世論調査
消極的安楽死に賛成61%

 



[英] 1967
ニースデン病院事件
医師の裁量による治療放棄を指示



 


[米] 1967
ルイス・カットナー,リビング・ウィルを起草。安楽死協会普及運動へ

[英] 1969
任意的安楽死法案上院に提出,
61:40で否決









 

1971-






















 





[米] 1975
J.Rachels(哲)
積極的安楽死と消極的安楽死の区別を批判





[米] 1980
R.Lamm(コロラド州知事)
「老人は死ぬ義務がある」







 

[米] 1973
アメリカ病院協会
患者の権利章典

[独] 1979
臨死介助のための連邦医師会指針
[


1976
第一回国際安楽死会議












 

[米] 1973
ギャラップ調査
積極的安楽死可53%,
男女差宗教差なし
男:女=53%:53%
プ:カ=53%:48%

















 

蘭] 1971
ポストマ医師事件
母親に致死量のモルヒネを投与

[米] 1976
カレン・クィンラン事件判決
植物状態の人工呼吸器撤去代行を認可

[米] 1976
サイケヴィッチ事件
末期の重度精神障害者の治療拒否代行を認可










 

[米] 1972
安楽死協会,安楽死教育協議会を併設し方針を消極的安楽死権に変

[蘭] 1973
自発的安楽死協会設立

[米] 1974
部安楽死協会,死の権利協会に改称し立法化へ

[日] 1976
日本安楽死協会設立

[日] 1978
日本安楽死協会,末期医療の特別措置法草案発表

[日] 1978
安楽死法制化を阻止する会

[米] 1980
ヘムロック協会設立
 






[米] 1976
カリフォルニア州自然死法
















 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 


思想
 

医学界の宣言,倫理綱領,

報告書など


世論調査
 


事件
 

安楽死運動法制化への動き

および反対運動


法律
 

1981-


























 




















[カトリック]1990
'vita evangerium'
回勅:いのちの福音





 

1981
世界医師会総会,リスボン宣言
「患者は尊厳のうちに死ぬ権利を持つ」





1987
世界医師会総会
マドリード宣言















 




























 

[蘭] 1984
アルクマール事件判決
末期患者への自発的積極的安楽死をおこなった医師に無罪

[米] 1985
コンロイ事件判決,重度精神障害者の栄養補給停止代行

[米] 1986
エリザベス・ボービア事件判決,四肢麻痺患者の栄養補給拒否を認可

[独] 1987
ハッケタール事件判決
[米] 1990
ナンシー・クルーザン事件判決,植物状態の栄養補給撤去代行認可,

[米] 1990
キボーキアン事件
自殺装置による自殺幇助,1999年までに130例に及ぶ希望者の自殺を幇助。3度の起訴,保釈後,積極的安楽死の様子をTV放映し,1999年に第二級殺人罪で拘禁
 




























 

[フィン] 1982
消極的安楽死法成立

[米] 1985
統一末期患者の権利法

[米] 1985
改正統一末期患者の権利法














[米] 1990
患者の自己決定権法



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 


思想
 

医学界の宣言,倫理綱領,

報告書など


世論調査
 


事件
 

安楽死運動法制化への動き

および反対運動


法律
 

1991-






















 

[米] 1991
D.Humphreyの'Final Exit'(安楽死の手引き)ベスト・セラーに

[日] 1992
『完全自殺マニュアル』ベスト・セラーに

[米] 1993
R.Dworkin
患者の自律と最高の利益を保護する立場から安楽死を擁護





[米] 1997
J.Hardwig(医師)
'Is there a duty to die?'
家族への配慮のための死ぬ義務を提唱

 

[蘭] 1991
レメリンク報告
積極的安楽死の実態調査報告



[加] 1994
安楽死および自殺幇助に関する上院特別委員会報告
今後も自殺幇助を禁ずる


[欧] 1996
欧州評議会「人権と生物学・医学とに関する協約」採択,1999年発効,








 















1998
第3回国際生命倫理学会における死ぬ権利と死ぬ義務に関する医療者・生命倫理学者の意識調査
家族のために死ぬ義務有/無(%)
 欧米80:16
 日本39:56
社会のために死ぬ義務有/無
 欧米61:34
 日本37:62

[加] 1993
ロドリゲス事件判決,自殺幇助要請を否決

[英] 1993
トニー・ブラント事件判決,本人の意思不明の植物状態の栄養補給停止を許可

[加] 1994
R.ラティマー事件判決,重度障害児の慈悲殺に10年の懲役刑

[蘭] 1994
シャボット医師事件,精神的苦痛を理由とした自発的安楽死容認

[日] 1995
東海大学「安楽死」事件判決,安楽死新4要件を提示

[日] 1996
京都京北病院で医師の忖度による慈悲殺,証拠不十分により不起訴

[米] 1991
ワシントン州で自殺幇助を認める法案の住民投票,46:54%で否決

[米] 1992
カリフォルニア州で自殺幇助を認める法案の住民投票,47:53%で否決

[米] 1995
フロリダ州で自殺幇助を禁ずる州法を合憲とする判決




[米] 1998
ミシガン州,自殺幇助の賛否を問う住民投票,予想外の大差で否決





 

[蘭] 1993
改正埋葬法
自殺幇助の医師に対して違法性を問わない

[米] 1995
オレゴン州尊厳死法成立
自発的安楽死合法化,その後連邦最高裁の違憲審査を経て1997決定

[豪] 1995
北部準州で自発的安楽死合法化,1997連邦議会により無効

[米] 1998
ミシガン州,自殺幇助を禁ずる州法州法制定

[米] 1999
疼痛除去促進法下院可決


 

2001-

 



 



 



 



 

[ベルギー] 2001
積極的安楽死合法化を審議中
 

[蘭] 2001
安楽死法成立
 


作成:大谷いづみ UP 20040727